「成体の脳でもニューロンは新生している」という考え方は、1990年代後半から徐々に神経科学の研究者の間で認められるようになった新しい概念です。この考え方が受け入れられる以前の約100年間、神経科学の教科書には「成体の脳ではニューロンは新生しない」と書かれていました。この「成体脳のニューロン新生」の発見は、それまでのドグマの崩壊、新しいパラダイムの出現と言ってよいでしょう。「成体脳のニューロン新生」はこのような新しい概念であるため、2000年頃、日本には「成体脳のニューロン新生」を研究する大きなグループは存在しませんでした。個々の研究者が独立に小規模の研究グループを立ち上げました。
「成体脳のニューロン新生懇談会」は、このような小規模の研究グループの研究者同士が、お互いの情報(実験技術、動物、試薬、実験結果など)を交換したり、関連の研究分野を勉強したりするために2003年に結成されました。「成体脳のニューロン新生」は、神経発生・可塑性、記憶・学習、再生医療、神経疾患など様々な分野と関係があるため、懇談会にはこれらの分野に関心のある研究者が集まっています。「成体脳のニューロン新生懇談会」は、それぞれの研究者がこの懇談会を利用することにより、各々の研究を発展させ、日本から世界に向けて真に独創的な研究を発信することを目指しています。
初代代表:石 龍徳